みやぎ生協から被災地・宮城のいまをお伝えします
失われた販路、減っている取引量
宮城の基幹産業である水産加工業の売上げは、設備がある程度整ったいまも震災前の水準に戻っていません。
理由は、震災で一度途絶えた販路が回復しないことや、販路は戻っても取引量が減少していること、人手不足で工場の稼働率が下がっていることなど、さまざまです。
阿部善久さん(塩釜蒲鉾連合商工業組合)は、「震災で出荷がストップしている間に他産地の商品に切り替えられてしまい、それが戻ってきていない」と話します。
(株)丸ほ保原商店は、販路はすべて回復しましたが原料不足や取引先への出荷量減少で売上げは回復していません。「震災前は毎年約120トンから200トン出荷していた商品が、震災後は風評被害の影響で年間6トンにまで減った」と保原敬明さん。
(株)スイシンの小山洋一さんも「取引先は戻ってきたが、他社商品に切り替わった分が回復していないので売上げは震災前の7割。人手不足のため販路が増えても対応が難しいというジレンマもある」と言います。
宮城県漁協の芳賀長恒さんは「新たな付加価値を付けた商品を開発していかなければマーケットは受け入れてくれない。みんなで英知を出し合う必要がある」と、水産加工業界の今後の方向を話してくれました。
販路、生産量、労働力など3年の間に大きく変わった事業環境にどう対応していくか。被災地の企業は震災前以上に厳しい競争のなかを闘っていかなければ、真の復興はない、という状況におかれています。
▲「新しい提案」を実現するために新工場が稼働。メカブのパッケージライン(丸ほ保原商店)。