みやぎ生協から被災地・宮城のいまをお伝えします
仮のコミュニティに身を寄せて
震災で、大きな被害を受けた沿岸部の人たちは、長年培ってきたコミュニティを離れ、バラバラに暮らさざるを得ない状況へと追い込まれました。仮設住宅も様々な地域から入居した人が多く、コミュニティの分断は一層進みました。仮設住宅では新たなきずなも生まれましたが、結局は自立までの仮のコミュニティに過ぎません。実際、現在は自宅再建や再就職による転出者の増加などで、空洞化が進んでいます。
東松島市「グリーンタウンやもと1」の内海聡子さん(グリーンタウンやもとひまわり集会所代表)は、「引越業者の姿を見ない日はないほど、転出が増えている」と言います。
グリーンタウンやもと1は自治会ができる前から、ゴミの整理や夜間の見回りを自主的に行なうなどコミュニティ活動が活発でした。しかし活動に熱心な人たちほど早く自立し、昨年は、自治会役員7人のうち4人が転出していきました。
今後は、民有地の返還にともなう仮設住宅の集約・統合が、住民を待ち構えています。「災害公営住宅など、終の棲家(ついのすみか)への転居なら、落ち着いて暮らせるからまだいいのです。でも仮設から仮設に移り、災害公営住宅の入居を待ちながらもう一回、知らない人たちと交友関係を結んでいかなければならないなんて…。ストレスでしかありません」。
被災した人々は、自分たちのコミュニティが壊れていく現場に立ち会ってきました。それは想像以上に重い負担だったに違いありません。3年のあいだに故郷に戻りたくても戻れず、気力も体力も弱って仮設住宅で亡くなった高齢の方も多数います。
元のコミュニティを去り、そのつど異なるコミュニティに身を寄せる暮らし。そして将来に希望が持てない、そんな心細さと向き合う人たちが、被災地にはまだ大勢いるのです。
▲手工芸品づくりやさまざまな行事に利用されているひまわり集会所。この日は市から依頼されたコースターを制作していました。