3.11を忘れない みやぎ生協から被災地・宮城のいまをお伝えします。
まだまだ消えない「住まいの不安」
生活再建のために最も基本的で重要な「住まい」。しかし、被災地では住まいを巡って日々新たな問題が浮上しています。床のたわみなど早くも老朽化が進む仮設住宅、みなし仮設の契約打ち切りや用地返還に伴う仮設住宅の撤去による仮設間転居、新築を困難にする地価の高騰、遅れがちな宅地造成、難航する集団移転の合意形成など、被災した人たちはそれぞれに困難な状況と向き合っています。
仮設住宅で宅地の供給開始を待つ岩佐恵美子さんは、「工事の建設資材や人手が不足していると聞くので、計画通り進むかどうか…」と工事の遅れを心配します。
災害公営住宅の建設も遅れ気味です。上原 イチ子さんは「ここを出るのは最後の方になりそう。今は元気だからいいけれど…」と長引く仮設での生活に不安を覗かせます。
斎藤 くに子さんは「まちづくりが始まったのは最近。息子や娘たち家族に新しいまちの完成を待つ余裕などないから通勤・通学に便利な町へ引っ越していきました。家を建てても、工事が遅れれば転出する若い世代はもっと増える」と言います。
国は仮設住宅の入居期間延長を決めましたが、それは狭く不便な生活が今後もしばらく続くということに他なりません。復興の遅れが住まいの問題をより複雑にし、被災した人たちをさらに辛い環境に追いやっているのです。
【情報提供/みやぎ生協】
▲山元町の仮設住宅。ベンチは住民のコミュニケーションの場だ。
▲周辺に何もない場所に建設が進む災害公営住宅(仙台市田子西地区)。しかし宮城県の計画戸数15,754戸に対し工事が完了したのはまだ117戸にすぎない(’13年8月31日現在)。
※工事期間などは宮城県・山元町等の最近のデータに基づく。