2021年10月19日
衆議院議長殿
三重県津市羽所町379番地
三重県生活協同組合連合会
会長理事 上野 達彦
成年年齢引き下げの法施行に関わる消費者被害の拡大を防止するため
早急に実効性ある施策の実現を要望します(陳情)
民法の成年年齢を、20歳から18歳に引き下げる「民法の一部を改正する法律(2018年法律第59号。以下「本法律」という。)の施行まで半年を切りました。
この法律が、2018年に成立した際、参議院法務委員会にて成年年齢の引き下げによって若年者の消費者被害が拡大するとの強い懸念から施行まで約4年間で、附帯決議による実現すべき課題が示されています。
具体的には、
1、法成立後2年以内に、知識、経験、判断力の不足など消費者が合理的な判断をすることができない事情を不当に利用して勧誘し契約を締結させた場合における消費者の取消権(いわゆるつけこみ型不当勧誘取消権)を創設すること
2、若年者の消費者被害を防止し救済を図るための必要な法整備を行うこと
3、マルチ商法などへの対策について検討し必要な措置を講ずること
4、消費者教育の充実を図ること
5、18歳、19歳の若年者への周知徹底や社会的周知のための国民キャンペーン実施を検討すること
6、施行日までに、措置の実施、効果、国民への浸透について検討し、その状況を公表すること等でありました。
しかし、本法律が成立して以降、若年者の消費者被害や、その防止をめぐる状況は大きく変わっておらず、附帯決議が求める施策が十分に実施されているとは考えられません。
この法律が予定通り施行された場合、これまで未成年者取消権によって悪質商法等の被害から守られてきた未成年者のうち、18歳や19歳の若年者は未成年者取消権を行使できなくなります。18歳、19歳の若年者が未成年者取消権を喪失することで消費者被害の拡大に対応する施策は急務であるが、つけこみ型不当勧誘取消権の創設は未だその目途も立っていない状況です。
また、消費者教育においても高等学校の「現代社会」や「家庭基礎」または「家庭総合」で「社会への扉」等を使用した履修がされているとはいえ理解度や知識は不十分との調査結果(消費者市民ネットワークみえ「成年年齢の引き下げと契約に関する調査報告書」2020年3月)もあり、消費者被害の予防につながる実践的な消費者教育が十分に実施されているとは言えません。
さらに成年年齢の引き下げに伴い18歳で未成年者取消権を失うことでの消費者被害拡大のおそれについての周知徹底も十分に実施されているとは言えません。
このままの状況で、法施行の2022年4月1日を迎えると18歳、19歳の消費者被害が拡大するという懸念が現実のものとなるだけでなく、法施行までの準備期間を設けた意味すらないと言えます。
三重県生活協同組合連合会は、付帯決議の履行を迅速かつ確実にすすめることを要望します。特に、高等教育機関および小中学校も含めた消費者教育の更なる強化と充実、18歳で未成年者取消権を失うことによる消費者被害が拡大する恐れがあることの広報強化を求めます。
以上
成年年齢引き下げの法施行に関わる消費者教育の充実に向けた意見(陳情)