理事会

「組織犯罪処罰法改正(テロ等準備罪の新設に関する)法案」に対する意見書を提出しました

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テロ等準備罪の法案は、日本国憲法の定める「基本的人権の尊重」と「近代刑法の原則」に大きくかかわる法案です。

憲法や刑法の正しい理解のもとに国民への説明と国会での審議がおこなわれるよう、

三重県生活協同組合連合会 会長理事より、安倍首相宛に意見書を提出いたしました。

(4月18日)

【意見書】

内閣総理大臣 安倍晋三様
                        2017年4月
三重県生活協同組合連合会 会長理事 上野達彦

     組織犯罪処罰法改正案(テロ等準備罪)に対する意見書 

 貴政府は、国連の「国際組織犯罪防止条約」締結、及びテロ対策として、組織犯罪処罰法を改正し、テロ等準備罪を新設することを閣議決定し、今国会で審議をはじめています。

 このテロ等準備罪は、重大な犯罪を2名以上で計画し、実行のための準備行為がおこなわれた時点で犯罪が成立するとされており、日本の刑法の原則である行為の結果・既遂を処罰する原則を大きく変えることを意味します。
 また、その「計画」「準備行為」とは、実際に犯罪がおかされていない、実質「合意」の段階であり、犯罪の構成要件が明記されていないテロ等準備罪は、日本国憲法が保障してきた基本的人権を脅かす懸念があります。

 これまで、本法案は「共謀罪」という名称で国会において3度廃案となった経緯のもと、貴政府は、要件を規定し、人権の侵害や恣意的な取り締まりにはつながらないとしていますが、依然として、規定した範囲はあいまいなままであるといえます。
 組織的犯罪集団の定義においても、テロリズム集団以外で対象となるのは、どのような組織なのか、正確に明記されていません。正当に活動する団体が犯罪団体に一変した場合も処罰対象としていますが、その判断について明確ではなく、誤認逮捕・冤罪を生み、労働組合や市民活動が委縮するおそれもある法案です。

 国連の「国際組織犯罪防止条約」では、締結国に対し、重大な犯罪を行うことの合意の犯罪化を求めていますが、日本ではすでに、重大な犯罪について「既遂」「未遂」以前の「予備」、さらのその以前の「陰謀」の段階で処罰の対象とする法律がある等
からも、あらたな立法を要することなく、条約締結ができるとの指摘があります。

 本法案は、近代憲法の原則である「基本的人権」を侵害しないようにしながら不正行為や犯罪に対して処罰する基本原則を大きく変えてしまう懸念があります。

そのことが国民の中でも理解がすすんでいない状況の中で、国会で審議がすすむことに反対し、憲法と刑法の正しい理解に基づく論議がおこなわれることを望みます。

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